好きな仕事だからこそ、時間に制限をかけて働くべき理由
2022.10.23
仕事というのは、基本的に人生で一番時間を消費する活動だと思います。
最低でも睡眠と同じ一日6~8時間は働くでしょうし、実際はそれ以上働いている人が大多数ではないでしょうか。私の場合、大体午前10時から19時半まで仕事して、時々夜中22時~24時にかけて再度パソコンを開き直してポチポチやっています。一日トータルにすると9時間半~11時間半くらいでしょうか。
といっても、その合間にはご飯を食べたり休憩したり、家事をやったりストレッチや筋トレなどの軽い運動をしていたりするので、厳密には8~10時間くらいかなと思います。
個人的には、働き過ぎというほどではないが、そこそこ働いているほう。そんな認識でいます。
好きな仕事だからといって毎日楽しくて仕方ない、わけではない
と、まあこうなることは社会人になって働き始める前から分かっていたので、そんな長い時間と労力をかけることなら好きなことであってほしい。でないと頑張れない(続かない)と思ったので、自分が心からやりたいと思える職業(編集者)に就きました。
最初はまったく別の仕事に就いてドロップアウトしたので、我ながらよく方向転換できたなと思います。そのこと自体は、結果として本当にラッキーでした。
ただ、好きでやっている仕事といっても、何時間でも働いていられる、飽きもせず辛いこともなく毎日が楽しくて仕方ない、といえば、もちろんそんなことはありません。仕事ですから責任もありますし、上司からやりたくない方向性の仕事を振られたり、自分がやりたい企画が違った方向に捻じ曲げられることもあります。
それだけでなく、どうも集中力が続かない、やる気が出ないということすらあります。好きな仕事のはずなのになぜ?と自分でも不思議になります。
なぜ「一日3~4時間」で圧倒的パフォーマンスが出せるのか
私がこれまで取材してきた人の中で、「一日3時間しか働かない」「週30時間までしか働かないと決めている」そんなことを話していた人たちがいました。その人たちが仕事が嫌いなのかといえば全くそんなことはなく、むしろ大好きなんだけれど、だからこそ時間を制限して働いている、と話します。
また、その人たちの仕事量がほかの人より少ないのかといえばむしろその逆で、普通の人の何倍もアウトプットしているし、メチャクチャ稼いでいるわけです。もちろん時短的なテクニックは色々使っているわけですが、それにしたって「なんでそんなことが可能なのだろう」と、内心疑問は消えませんでした。
いや、今もその疑問は完全には消えていないのですが、先日お会いしたアプリ開発をやっている若手のやり手社長に取材したとき、一つ腑に落ちることがありました。その人も「一日4時間までしか働かない」というのですが、その理由を聞いたら「それ以上働くと、”好き”の熱量が下がりそうだから」と言うのです。
その社長いわく、若い頃に好きなバンドや曲を見つけると、四六時中そのバンドの曲や好きな歌を聞きまくって、数週間すると飽きてしまう、ということを繰り返したそうです。今もアプリ開発が好きで好きでたまらないそうなのですが、「やり過ぎると飽きるんじゃないか」と思って、働く時間を制限しているのだとか。
なるほどな、と思いました。好きな仕事を好きなだけやっていると好きの度合いが下がって、だんだんやりたいという気持ちがなくなってくる。まさに自分もこれだなと。
会社員なりにやってみた「遊びと集中」
それで今やろうとしているのは、「一日4時間、鬼のように集中して仕事に取り組む時間」を作ろうということです。例えば午前中2時間、午後休憩を挟んで気分転換した夕方に2時間。この時間はタイマーをかけて、原稿を書くとか編集作業をするとか企画書を作るとか、自分にとってコア的な、重要な仕事にわき目もふらずに取り組む時間にあてます。
あとのメールとかスラックとか誰かの記事のチェックとか、そういうものは「遊びの仕事」としてのんびり気楽にやることにする。そういう作業は「(本質的には)仕事じゃない」と思って、楽しみながらやればいいかなと。
重要な仕事を楽しまないわけではないけれど、やっているときは楽しむ余裕もないほど没頭するほうが、後々満足感、充実感という手ごたえになって返ってくるので、それも仕事を楽しむことだと思うのです。
本当は本当に働く時間を4時間にして、残りの時間は運動やら学びの時間に充てたいですが、会社員なのでそういうわけにはいきません。でも、メリハリをつけることはできると思います。
これでどこまで生産性と人生の質が高まるか、自分でも楽しみにしています。人生は日々実験です。
この記事を書いた人
田中 裕康(NCL)
編集者。ライフハッカー[日本版]副編集長。週刊誌記者などを経て、2013年に日経BPコンサルティングに入社。17年から日経BPに出向し、日経xwoman編集部(DUAL、doors)に所属。21年に退社、メディアジーンに入社。公務員の妻と2人の娘の4人家族。洗濯や掃除、子どもの外遊びなどは主に担っているものの、料理だけは完全に妻頼り。