家庭の「核」は夫婦 ”子はかすがい”じゃない
2022.06.07
「子は宝」と言われます。ましてやこの少子高齢化時代、数少なくなった子どもはまさしく社会全体で生み育てていくべき財産と言えるでしょう。
でも、ちょっと待ってください。あまりにみんな、子どもばかりを見ていませんか?
家庭の最小単位は「夫婦」です。そして、子どもが何人増えようとも、その家庭の中心になって回していくのは両親のはずです。
そう考えると、本当の意味で一番大切なのは「パートナー」ではないでしょうか?
もちろん子どもが一番大切だと思われる人もいるでしょうし、それも間違いないと思います。でも、子どものことを第一に思うのだとしたら、その子どものためにも、パートナーと幸せな協力関係を築くことを真っ先に考えるべきだと思うのです。
親が子どものためにするべきことは、いい学校に行かせたり、質の高い習い事をさせたりすることではありません。親が子どもにとっての「安全基地」であることが最重要です。
家庭が子どもにとって安心して帰ることのできる場所であれば、子どもは自然に家庭外のさまざまなことに興味を持ち、好奇心と冒険心でいろいろなことに挑戦することができます。誰かに教えてもらうのではなく、自ら進んで知ろうとする、体験する。これに勝る学びはありません。
安全基地であるためには、両親がそれぞれ子どもに対して愛情を持って接すること、子どもの存在を無条件に受け入れることが必要ですが、それだけではありません。両親が仲良く、お互いを信頼して、助け合う姿を見せること。これが子どもにとって何よりの安心材料になると私は考えています。
私は子どものころ、両親が大きなケンカをしているところを見て、「もしかしたら離婚するんじゃないか」「そうしたら自分はどうなるんだろう」と大きな不安を抱いたことを覚えています。同じような経験を持つ人は少なくないのではないでしょうか?
実際、両親がいがみ合う姿や無視し合う関係を見せ続けるくらいなら、離婚したほうがいいかもしれません。そんな環境で、いくらそれぞれが子どもには愛情をかけたとしても、子どもにとってその愛情は必ずしも信じられるものではないかもしれないからです。
特に共働き家庭がマジョリティ―となり、夫婦それぞれが忙しく働くようになった現代では、「子はかすがい」とは限りません。仕事と育児の両方の負担をそれぞれが抱え込むことで、パートナーに対する不安や不満は専業主婦家庭よりも噴出しやすくなっているからです。
子どもの教育の大切さを訴える人は世の中に数多くいます。それはそれでとても重要なことでしょう。
でも私たちは、教育の前に子どもが安心して過ごせる場所をつくるために、まずは夫婦が信頼関係のもと質の高いパートナーシップを持つことが大事だと考えています。
NCLではそのための情報発信を続けていきたいと思っています。
この記事を書いた人
田中 裕康(NCL)
編集者。ライフハッカー[日本版]副編集長。週刊誌記者などを経て、2013年に日経BPコンサルティングに入社。17年から日経BPに出向し、日経xwoman編集部(DUAL、doors)に所属。21年に退社、メディアジーンに入社。公務員の妻と2人の娘の4人家族。洗濯や掃除、子どもの外遊びなどは主に担っているものの、料理だけは完全に妻頼り。