村上春樹に学ぶ仕事術 リズムと規則正しい生活が生産性と創造性を生む
2022.08.28
リモートワークをしていると、誰も見ていないという環境下で、ちょっとサボりたくなったり、ソファにゴロンと横になってしまおうか、そんな誘惑にかられることがあります。
実際にその誘惑に負けてしまうこともあるわけですが、それによって当然仕事が遅れるので、結局深夜までポチポチと追っかけ仕事をすることになることもしばしば。
結果として仕事に追われるというか、もっと言うと「自分で仕事のペースをコントロールをできていない」と感じます。締め切りに追われないと仕事にとりかかれないというか。結果としてアウトプットできていればそれでいいだろうという人もいると思いますが、自分をセルフコントロールできていない感じって、あまり心地いいものではないと私は思います。
ではどうすれば自分で自分のパフォーマンスを安定的に最大化することができるのでしょうか?
『ノルウェイの森』などで知られる作家の村上春樹さんは、数年に一度、定期的に長編小説を出されていますが、その執筆作業は極めて規則的なもののようです。
「長編小説をっく場合、一日に四百字詰原稿用紙にして、十枚見当で原稿を書くことをルールとしています。(中略)なぜなら長い仕事をするときには、規則性が大切な意味を持ってくるからです。書けるときは勢いでたくさん書いちゃう、書けないときは休むというのでは、規則性は生まれません」(『職業としての小説家』(新潮文庫)より抜粋)
そうして、「タイム・カードを押すみたいに、一日ほぼきっかり十枚書く」のだそうです。
働き方に自由と裁量を与えられると、気分が乗るときにはどんどん仕事するけれど、乗らないときは徹底的にやる気がしない。そんな風になりがちです。
でも長期的な視点で、自分に出せる最高のパフォーマンスを発揮しようと思ったら、リズムよく、規則正しく仕事すること、そしてそれをとにかく継続すること。それが何より大事なのではないでしょうか。
元メジャーリーガーのイチローも「同じことをずっと繰り返す」と語っています。同じ生活リズムで、同じルーティーンをとにかくひたすら積み重ね続ける。その先に初めてほかの誰も到達できなかった境地があるのでしょう。
村上さんは、「朝早く起きてコーヒーを温め、四時間か五時間、机に向かう」そうです。実際にはもっと細かいルーティーンがあるのではないでしょうか。いい仕事をするためにはまず規則正しい生活リズムと仕事のルーティーン。そしてそれを愚直にただ繰り返す。「天才に見える人たち」も、実際にやっていることは極めて地味で愚直なまでの習慣化――そんな気がします。
この記事を書いた人
田中 裕康(NCL)
編集者。ライフハッカー[日本版]副編集長。週刊誌記者などを経て、2013年に日経BPコンサルティングに入社。17年から日経BPに出向し、日経xwoman編集部(DUAL、doors)に所属。21年に退社、メディアジーンに入社。公務員の妻と2人の娘の4人家族。洗濯や掃除、子どもの外遊びなどは主に担っているものの、料理だけは完全に妻頼り。